横尾忠則ポスター展 THE BEST 450
いつもは他の媒体では取り扱わないようなイベントを当コラムでは好んで紹介してきたつもりなのだが、さすがに今回はこれを紹介せずにはいられないので勘弁して欲しい。
近年では金沢21美がなにかとわれらの耳目を集めているがどっこい富山も負けてはいないのである(しかし過日の県立水墨美術館での日本刀展は稀にみる名展だった)。
今回の富山版では、昨年開催した大阪・国立国際美術館に出品した中から450点(YO.KO.O)を選出したポスターを展示するというスタイルなのだが、過去の作品をみても正直「これ何?」という感想を受けた諸兄もいるはずだ(じっさい私もそうである)。
大丈夫。ツイッター内での本人のつぶやき(@tadanoriyokoo)をみると、中には横尾氏本人もよくわからない作品もあるらしい。やっぱり。
View more "tadanori yokoo" photos on Flickr
まるで自分の小説が課題文として採用された入試問題を当の作家本人が解けないかのように、微細に入り組んだおびただしいイコンを中に散りばめたまま、彼の作品は私たちを思考の迷宮に陥れる。その様を想像しほくそ笑むかのように。
他方、彼は作品を通して己の内在世界への探求者としてのその呻きを、私たちに現しているかのようである。油絵やオフセット印刷、はたまた俳優として幾多のテレビや映画出演などを通して。
三島由紀夫や寺山修司、篠山紀信らとガチンコで渡り合い、70歳をこえた現在もかろやかに疾走するこの作家の渾身の一球一球を、受け手である私たちは全力で振り抜くしかないのだ。ちなみに一般の入場料は700円。昼メシ抜いてでも行くべし。
横尾忠則ポスター展 THE BEST 450」
日時:2011年10月29日〜12月4日(月曜および祝日の翌日は休館)
場所:富山県立近代美術館(富山市西中野町1-16-12)
料金:一般700円 大学生500円
問い合わせ先:076-421-7111
URL:http://www.pref.toyama.jp/branches/3042/3042.htm
島倉和幸/1969年富山県生まれ。USTREAMサイト「tommune」所属。TwitterIDは@shimac01