先生のデザインしたポスターおよび大好物のおはぎで近づく
そのきっかけは富山県立近代美術館の30周年記念「横尾忠則ポスター展 THE BEST 450(YOKOO)」が10月29日から12月4日まで開催するのだが、その初日に横尾忠則先生の講演会が行われるためだ。
わずかな時間ではあるがこの接触できるタイミングを逃す手はないと、特別なルートで入手した横尾忠則先生デザインの特大ポスターと大好物のおはぎを手に講演会場へと潜入した。
徹底的なカメラ撮影NG状態の中、特大ポスターを片手にどうやって横尾忠則先生とコンタクトを取るか考える。特大ポスターにきっと気付いてはいるだろうがこの人混みではスルーされてしまう。おはぎが粒案あんだけじゃなく、こしあんも混ざっていたのがバレたか?
ああ、今回も接触できずに終わってしまう予感…。
「公演終了に横尾先生のサイン会があります」…キター!このチャンス逃してなるものか。「ただし横尾先生の書物に限ります。ポスターへのサインはお断りします」…おっと、書物はOKでポスターはNGときましたか。ポスターを持って来てる奴なんて俺だけだぞ。徹底的にこの企画を潰しにきたな…。かまへん、かまへん列へ並んでやる。
※後から聞いたのだが、ポスターへのサインは転売される恐れがあるのでこういう場ではサインをしないとのこと
「すみません、ポスターは今回お断りしているんですよ」
「先ほど美術館の副館長さんがこのポスターイイネ!って褒めてくれました」
「いや、誠に申し訳ありませんが…」
「先生にお土産持ってきたんです。富山で作られたおはぎです。こしあんもありますが、粒あんもしっかり入ってます!だから…」
そのとき、マネージャーとのやりとりに割って入った横尾忠則先生のお言葉。
「おはぎですか?帰りの電車の中で頂こうかな」
うむ。おはぎの力恐るべし…。マネージャーも説得するのを諦めた。
「ポスターへは宛名も必要なのでお名前を教えてもらっていいですか?」
「ヤチャでお願いします…富山で月刊ヤチャという…」
マネージャー、そして後ろにたくさん並んでいる人の冷たい視線が突き刺す。
「…八島城二でお願いします」
この何とも言えない空気感の中、横尾忠則氏がポスターに僕の名前とサインをしてくれた。こっそり月刊ヤチャを机に残し会場を後にした。帰りの電車の中で美味しそうにおはぎを食べながら、月刊ヤチャを読んで笑っている横尾忠則先生の姿が目に浮かんだ。