【コラム】脳内の物語が外にあふれ出すような…そんな読書体験ははじめてだった/我楽多見聞録 vol.08

「書物というのはポケットに入れて持ち歩ける庭のようなものである」。そんな格言もあるように、読む人間によって価値がゼロにもヒャクにもなるのが本のいいところ。今回紹介するのは富山出身の作家さんが書いた小説です。(ササキアイ)




白馬に乗られた王子様/石川琉衣


おもしろい小説に出会った。というか小説のおもしろさを思い出させてくれる作品だった。私が思う「本を読む醍醐味」は「脳内活動」だ。脳内でいかに自由に場面などを想像し展開させてくれるか。一から十まで書かれてはこの想像の余地がなく苦痛だし、全くないとまた想像しようがない。

その点において、この作品は本当にすばらしかった。登場人物が物語のテンポにあわせてイキイキと動き、スピード感のある場面で一気に走る(主に馬が)。そんな一緒に走っているかのような感覚。脳内の物語が外にあふれ出すようなそんな読書体験は初めてだった。

「恋愛小説」なのにこんなに爽快なのもすばらしい。ジャンル、というものにしばられることなくおもしろいものはおもしろいのだと改めて教えてもらった。

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作者の石岡琉衣先生は富山県出身の作家さんである。先日お会いする機会があったので作品の感想をおこがましくもお伝えした。私が「ダイ・ハードの後に読むと、どうも脳内でブルース・ウィリスがでばってきちゃって・・」と嘆くと、先生はそれでもいいとおっしゃってくださった。自由に想像してくれていい、と。

しかし、やはり個人的にダイ・ハードの後はおススメしない。読んだ人だけがわかる「白馬に乗られた王子様」あるあるである。


白馬に乗られた王子様
著者:石川琉衣
出版元:産業編集センター


ササキアイ/株式会社文苑堂社員。現在は企画担当。婚活パーティーなども開催している。


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