【コラム】ひらがなにもカタカナにも漢字にも改行にも行間にもすべて意味がある/我楽多見聞録 vol.01

「書物というのはポケットに入れて持ち歩ける庭のようなものである」。そんな格言もあるように、読む人間によって価値がゼロにもヒャクにもなるのが本のいいところ。文苑堂スタッフの推し本コラム。(ササキアイ)





二十億光年の孤独/谷川俊太郎


谷川俊太郎の「孤独」は優しい。孤独というものがもつ空気の冷たさは感じるのに、震えはこない。ひとりで立っている、そう感じる時、人は初めて孤独の何たるかを知る。

だから経営者は孤独だと、多くの経営者はいう。孤独は地に足がついてこそ始めて感じるのだ。孤独はその足元からやってくる。あまったれた若者がつぶやく「孤独」という言葉にはなんの意味もない。

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谷川俊太郎は自分の足で立って、人を、世界を見ている。ときには宇宙に思いをはせる。その言葉は時に凛とした強さを、明日に踏み出す勇気を、そして途方もない空虚感をこちらに投げかける。ひらがなにもカタカナにも漢字にも改行にも行間にもすべて意味がある。

一人でそれを受け止め、咀嚼(そしゃく)する強さと勇気がこちらにはあるのか。それを考えながら読み進める。

受け止める、そんな夜が男には必要。


二十億光年の孤独
著者:谷川俊太郎
出版元:集英社


ササキアイ/株式会社文苑堂社員。現在は企画担当。婚活パーティーなども開催している。


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