【コラム】ややこしい女というものはもてない。モテる女というものはわかりやすいものだ/我楽多見聞録 vol.03

「書物というのはポケットに入れて持ち歩ける庭のようなものである」。そんな格言もあるように、読む人間によって価値がゼロにもヒャクにもなるのが本のいいところ。文苑堂スタッフの推し本コラム。(ササキアイ)





HER/ヤマシタトモコ


このマンガがすごい!2011・オンナ編の第一位である。「このマンガがすごい2011」というものに関して物申したいところもあるが、今回はスルー。ウン十年生きてきて思うのだが、「ややこしい女」というのはもてない。そもそも「モテる女」というものは「わかりやすい」ものなのだ。

各女性誌の特集を見ていただければ一目瞭然。「モテ髪」「モテ服」「モテメイク」。どうしたらモテるかがありがたくも指南されていて、それを疑問に感じることなく享受できる女。これが「モテる女」である。

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男性陣にとってもこういう女子は「わかりやすい」だろうと思う。そのわかりやすさをありがたがって欲しいと思う。だが基本、女はみんな「ややこしい」。「わかりやすい女」が本当に何も屈折していないのかは表面だけではわからない。

そもそも「ややこしい」ってどういうことだ。と、思った方はこのマンガを読んでみることをオススメする。六篇からなる短編集のうち五篇の主人公が女。(最後の一篇は男性視点なのでここでは五篇とする)その全員が「ややこしい」。

共感できてしまう部分もあり、理解できない部分もあり。でも、それもひっくるめて「女」だなあ、としっくりきた一作。愛すべき「ややこしさ」。それこそが「女」というものなのである。


HER(Feelコミックス)
著者:ヤマシタトモコ
出版元:祥伝社


ササキアイ/株式会社文苑堂社員。現在は企画担当。婚活パーティーなども開催している。


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