【コラム】この詩は多くの人たちにいろんなことを振り返り、考えるという機会をくれる/我楽多見聞録 vol.04

「書物というのはポケットに入れて持ち歩ける庭のようなものである」。そんな格言もあるように、読む人間によって価値がゼロにもヒャクにもなるのが本のいいところ。文苑堂スタッフの推し本コラム。(ササキアイ)





行為の意味/宮澤章二


行為の意味
-あなたの〈こころ〉はどんな形ですか
と ひとに聞かれても答えようがない
自分にも他人にも〈こころ〉は見えない
けれど ほんとうに見えないのであろうか

確かに〈こころ〉はだれにも見えない
けれど〈こころづかい〉は見えるのだ
それは 人に対する積極的な行為だから

同じように胸の中の〈思い〉は見えない
けれど〈思いやり〉はだれにでも見える
それも人に対する積極的な行為なのだから

あたたかい心が あたたかい行為になり
やさしい思いが やさしい行為になるとき
〈心〉も〈思い〉も初めて美しく生きる
-それは 人が人として生きることだ

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今、日本中で一、二を争う有名な詩。はじめてきいた時にものすごい衝撃を受けた。でも繰り返される中で、その衝撃は薄らぎ、人によってはうっとうしいと感じたのではないだろうか。でも、この詩は今この時、多くの人たちにいろんなことを振り返り、考える、という機会をくれる。毎回でなくてもいい。一度、じっくりこの詩を身に受け止め咀嚼してみてほしい。

【詩】に触れる機会は大人になって減った。しかし【詩】は受け止める人、または自分の精神状態によっても得られるものが変わってくる。行き詰ったら、心を落ち着けたいと思ったら、たくさんの【詩】を読み自分が何を感じるか、それを受け止めてみることも、また読書の楽しみではないかと思う。


行為の意味 青春期のきみたちに
著者:宮澤章二
出版元:ごま書房新社


ササキアイ/株式会社文苑堂社員。現在は企画担当。婚活パーティーなども開催している。


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