【コラム】旅行に行く際はいつもポケットに「名言」を入れている/我楽多見聞録 vol.06

「書物というのはポケットに入れて持ち歩ける庭のようなものである」。そんな格言もあるように、読む人間によって価値がゼロにもヒャクにもなるのが本のいいところ。文苑堂スタッフの推し本コラム。(ササキアイ)





何もそこまで/ナンシー関


「ポケットに名言を」は寺山修二の名作であるが、私も旅行に行く際はいつもポケットに「名言」を入れている。私にとっての「名言」であり「旅行の友」は故ナンシー関の著書である。読んでいても終始笑えるので乗り物酔いしないのがいい。以前推理小説を読んだら、登場人物を確認しているうちに酔ってしまって20頁くらいで断念した。

ナンシー関をご存じない方に簡単プロフィール。「著名人の似顔絵を中心とした消しゴム版画と、これを挿絵として使った、テレビ番組の視聴を通じて芸能人を批評するコラムで知られた。2002年6月12日死去」。きっと皆様もあの素晴らしい消しゴム版画をひとつくらいはみたことがあるだろう。圧倒的なインパクトの似顔絵と端的なキャッチコピーは今も鮮やかに私の記憶に残っている。

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何より人を見抜く力が素晴らしかった。ヤワラちゃんこと「谷良子は10年後選挙に出ていると思う」とコラムの中で発言。(「何もそこまで」に収録)そして2010年、これが現実のものとなる。また、現在毒舌で絶好調の有吉のことも猿岩石の頃から「生来ふてぶてしい」と見破っていた、と有吉がテレビ番組で嬉しそうに語っていたらしい。

これらのこともそうだが、今どんどん生まれては消えていく芸能界のキャラクターたちをナンシー関ならどう評するのか。テレビ離れが進んでいる、といわれる今とっても気になる昨今である。


何もそこまで
著者:ナンシー関
出版元:角川書店


ササキアイ/株式会社文苑堂社員。現在は企画担当。婚活パーティーなども開催している。


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