マイブリッジの糸
監督・脚本・編集・デザイン・アニメーション:山本浩二
上映期間 1月14日(土)~20日(金)
(c)2011 National Film Board of Canada / NHK / Polygon Pictures
今回は日本のアニメーション作家の作品を紹介する。山村浩二という監督の新作「マイブリッジの糸」がおもしろい。この短編アニメーションは、山村浩二が持ち入れる限りの表現方法を駆使して、「時間」について思念する哲学的な作品だ。作品のモチーフとなっているのは、エドワード・マイブリッジという実在の人物。マイブリッジは、世界で始めて馬や動物の連続撮影に成功し、それをさらに連続投影する技術も開発して、映画の発展に貢献した。
タイトルの「マイブリッジの糸」とは、動物の連続撮影の際に、糸を張り巡らせた道で馬を走らせ、馬が糸を切るたびに、糸につながれていたカメラのシャッターが切られたことに由来している。要するに、16枚の連続写真を撮影するのに、16台のカメラを用意して、一枚ずつ連続に撮影していったのである。彼は、一瞬一瞬の積み重ねが、今流れている時間であるということを始めて具体化させた男。マイブリッジの発明は、当時の社会で広く関心を持たれたが、彼は後に妻の愛人を嫉妬によって射殺してしまい、研究の打ち切りを与儀なくさせられてしまう。
彼のそんな背景も含め、本作では、過ぎてしまった一瞬を引き延ばし、逆に廻し、時間の流れの中で一瞬を捉えていく。これは、時間を歪ませたアニメーションだ。わずか、13分の本編と、山村浩二のアニメーションの制作風景を覗いた映像も合わせて30分の短い上映。入場料は500円。優れた小品をぜひ観に来ていただければと思います。
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フォルツァ総曲輪 上映スケジュール
佐伯龍蔵/立山町出身。京都精華大学退学後、バックパッカーとしてアジアを放浪した後、富山に帰郷。現在は富山の映画文化を底上げするべく精進中。